蚊の季節、これから本番? 猛暑と少雨で今夏は減少
今年の秋は、例年よりもかゆいかも知れない。猛暑と降水量減という「ダブルパンチ」で今夏の蚊の多くは幼虫の段階で死んでいた。だが暑さが和らいで雨量が増えれば通常通りに成長するため、かゆさの「体感」が上がりそうだ。蚊を専門に研究している害虫防除技術研究所(千葉県八千代市)は「夏に蚊に刺される機会が少なかった分、秋以降は増えたと感じるはず」と予測している。
大阪府立公衆衛生研究所(大阪市東成区)は、蚊が媒介する感染症の調査のため、府内17カ所で蚊を採取し、数や種類を確認している。6月下旬〜8月中旬に2週間に1度、夕方から朝にかけて採取した蚊の数は、昨年の2280匹から今年は1939匹へ15%減っていた。担当者は「例年より少ないと感じていたが、やはり」。
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なぜ減ったのか。
害虫防除技術研究所によると、人間の血を吸ったメスの蚊は、3〜4日後に水面で産卵。卵から2〜3日で孵化(ふか)してボウフラとなり、サナギを経て2週間ほどで成虫になる。
道路脇の溝や植木鉢の受け皿、古タイヤなどにたまったわずかな水で産卵、成長することが多いが、今年6〜8月の国内の平均気温は平年より約1.6度上昇し、統計を取り始めた1898年以降で最高を記録した。加えて、8月の近畿2府4県の総降水量は平年の54%で水たまりは干上がっていた。そのため成虫になる前に死ぬ場合が多いとみられている。また住宅街に多いアカイエカは暑さに弱く、気温が30度を超える日が続くと死ぬという。
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害虫防除技術研究所によると蚊は例年9月以降、数が減少する傾向がある。しかし今夏は一時的に数が減ったため、蚊の産卵が9月以降に例年通りに戻ると、数が増えたように感じるはずだという。ヤブ蚊と呼ばれるヒトスジシマカとアカイエカは11月ごろまで生息するといい、白井良和・同研究所長(42)は「植木の受け皿など、身の回りに水たまりを作らないことでも予防になる。秋といっても油断大敵です」と話している。(京谷奈帆子、小池寛木)
(09/13 18:00) asahi.comより |